人と馬の狭間で。

人について思考を巡らすブログです

番組にノせられて京都の和菓子めぐってきたけど、行ってよかった話

先週の火曜に何気なく見ていた「マツコの知らない世界」で 「和菓子御三家の世界」と題して、和菓子特集がされていた。

大阪大学の石黒研究室と共同研究をしている身からすると、 マツコロイドのことが頭にちらつき、 もはやマツコデラックスは人間という枠組みの外にいるような、そんな気分で番組をながめてしまう。

ただ、番組で紹介される和菓子はほんとにどれもおいしそうで、 あまりにも心に響いてしまったものだから、番組中盤あたりから

「そうだ、京都にいこう」

と心の中で決めていて、そのまま指が勝手に Twitter に意気込みを書き込んでいた。

週末の金曜を迎え、トイレで旅程表を考える(下痢気味

ひとまず番組内で紹介されていた「虎屋」さんと「鶴屋吉信」さんは外せない。 幸い調べてみると、両方とも店内で食べられる茶寮がついているらしい。 10ヶ月の息子を連れ立ってゆっくり巡るには、朝1件、昼食を挟んで、午後1, 2件が限界だ。 ということで、昼食をとれる和菓子屋として、京都の老舗でおそらく最も古い「本家尾張屋」さんに行くことに。

テンションも腹痛とともにだだ上がり。

享和三年(1803)創業 鶴屋吉信

当日、まずは1件目の鶴屋吉信さんの茶寮にいく。 鶴屋吉信さんは江戸時代の享和三年(1803)に創業、約215年の歴史をもつ和菓子屋さんだ。

鶴屋吉信さんの本店は堀川今出川の交差点の北西角にある。 店舗のすぐ北側に10台分ぐらいの駐車場がある。車持ちにはありがたかった。 (京都を車で旅しようとすると駐車場代が高くつくのが困りどころ)

一階部分が販売店舗、二階に茶寮がある。 茶寮には2種類あり、目の前で和菓子作りの実演をしてもらえる6席程度のカウンター「菓遊茶屋」と、低めのテーブルが20個ほどあり中庭が望める「お休み処」とがある。

午前中にいくつもりが、準備にもたつき12時ちょうどに到着。 さすがにこの昼の時間ということもあり、ほぼ貸切状態。今回はせっかくなので「菓遊茶屋」で実演してもらった。

実演中はさすがに撮影するのは失礼かと思い、写真はない。 言葉少なに職人さんが見事な手さばきで和菓子を形作っていく。素早く何の迷いもない動きだが、丁寧に無駄なく彩られていく。 できあがった生菓子「若松」と「紅梅」は、食べるのがもったいないほどの上品な美しさだった。

朝飯抜きの体にじっくり甘さがくる。体に行き渡るのがわかるぐらい。 これで1000円は価値がある。ゆったりしたい人にはよい。

(この日、和菓子は直上から撮るのが一番きれいだと気づいた)

1465年創業 本家尾張

室町時代に菓子屋として創業、1700年ごろに蕎麦も始めたのが「本家尾張屋」さん。古すぎる。いい。 歴史ありそうなたたずまい。

13時すぎに到着。烏丸御池から北東に入った場所にある。 ここは駐車場が見当たらず、周辺のコインパーキングに停める。 昼の12-13時からずらしたにもかかわらず、まだ4組ほど並んでいて、人気なのがわかる。 韓国系のお客さんが多く、待っている列でも座ったテーブルでも周りの約8割は海外からのお客さんだった。旅行ガイドに載っているのかもしれない。

店の中に案内されると、外観からは想像がつかないほどの席数。 20席ぐらいかなと思っていたら、まさかの92席。 天井低めの日本家屋をずっと奥までいった座敷に案内してもらった。

なぜか学生の気分に戻ってしまい、一人で天ぷらそばと親子丼を注文してしまう。 頼んで30秒後ぐらいでも後悔し、料理が出てきても後悔した。食べきれなさそうさに。 が、食べてみると、そばも丼もすんなり入ってしまった。 いわゆる絶妙な安定感。いつ来ても外れなさそうなおいしさだった。

室町時代後期創業 虎屋

昼食の後、一服するためにおしゃれな茶寮がある「虎屋」さんへ。 京都で室町時代後期に創業し、1586年には京都御所出入りの御用商人として記載があったらしい。

ただ、「とらやの羊羹」という言葉は知っていたが、情けないことに食べたことはなかった。 マツコの番組でガッツリ取り上げられなかったら、たぶん行ってないかもしれない。

烏丸沿いに販売店舗があり、少し北にいったあたりにコインパーキングがいくつかある。 これまでの2店舗に比べると建物自体は新しく、今に合わせている感じがした。

販売店舗から西に入ると、モダンな建物の「虎屋菓寮 京都一条店」が見えてくる。

中は落ち着いた雰囲気で、中央付近にライブラリーがいくつも置いてあった。 虎屋の歴史に関する本から、和菓子を愛した偉人たちの本まで、歴史を感じたい方にはおすすめしたいおしゃれなカフェ。

入り口の反対側にはお庭があり、散策することもできるし、窓側の席やテラス席から眺めることができる。 (ちょうど快晴であたたかいときで、息子はここを散策している間に睡魔が一気にきているようだった)

昼飯を食べ過ぎたこともあり、ここでは落ち着いた和菓子を選択。 スタンダードな「夜の梅」はお土産に買って帰ることを決めていたので、少し違う生菓子「春の路」をいただく。

鶴屋さんに比べると、あんこの部分が固めでしっかりしている。そして、しっかり甘い。 息子が眠ってくれたこともあり、ここで1時間以上ボーッとできた。

落ち着いた雰囲気がとても居心地がよく、 「学生のときにここに来てもこの良さはわからなかったよね」「そうだよね」と、 嫁と二人で、学生のときに和菓子巡りをしなかった言い訳を互いに言い聞かせたりしていると夕方近くになったので帰阪。

番組にノセられた形となったが、大満足な一日だった。

戦利品

  • 鶴屋吉信から、生菓子5種と柚餅と京観世
    • 生菓子5種の左上のものは本店限定
  • 本家尾張屋から、蕎麦ぼうる
  • 虎屋から、夜の梅

本当は京都駅の伊勢丹阿闍梨餅とか買おうと思っていたのだけど、 3店舗でついつい買いすぎて食べきれるか心配だったのでまた今度の機会に。

今後は、大阪のたこ焼きめぐりでもするかな。